ケロロでパパレポー!と、小さくなった冬樹くんを見たらつい、ですね。あのですね。パパレポーッて、パパレポーッてついつい・・美鶴をっっ!!美鶴をっっ(汗汗)
「Peppermint milk panic!」のある意味続き版・・?最近美鶴の扱いちょっとひどいような?いや、そうでもないか?(どっちだよ!)・・・ごごごめんなさいぃぃ!!
chocomint ice panic!
その日、亘と美鶴は二人でとあるテーマパークに来ていた。
デートと言えば聞こえはいいが、何のことは無い。その日だけ、そのテーマパークで配られるという限定グッズをアヤがどうしても欲しいといった為、(アヤ自身はピアノを教えてくれてる先生のコンサートに行かねばならず、来られなかった)
そんなとこに死んだって一人で行けません!の美鶴が亘を誘ったのだ。
亘は大喜びで正直、高校生男子二人で行く場所ではありません!の、着ぐるみぬいぐるみ親子連れベタカップル満載!の場所に張り切ってやって来た。
そしてその限定グッズとやらを手にしたら、速攻で帰るつもりだった美鶴の腕を亘は引っ張っりながら、あれに乗ろう!あれで遊ぼう!
だから、男二人で乗るもんじゃないだろうそれ!!という、美鶴の意見は聞く耳持たず、ついでに言うと半分確信犯的な気もするんだが、ダメ?・・とか何とか小声で言いながら上目遣いにおねだりされて思わず、う・・(汗)とか口ごもってる間に次々振り回されて、気が付けば美鶴さんはベンチに座って息ついてました。
「大丈夫、美鶴?いま、飲み物かなんか買ってくるから。待ってて!」
そう言って売店に走って行く亘の後姿を見ながらため息をつきつつも、美鶴はかすかに微笑んだ。
何だかんだいっても、嬉しそうな楽しそうな亘の笑顔を見れることは美鶴にとっては幸せな事なのだ。
その笑顔を見れるなら多少の事には忍の一字。
結局は惚れた弱みというやつなのです。
(楽しそうね・・・)
ベンチに座って苦笑してる美鶴の頭に誰かの声が響いてきた。
聞き覚えのあるその声に、美鶴の表情が一瞬にしてこわばる。
(いいなぁ・・私だってああやってワタルと仲良く遊びたかったわ。いいわね、ミツル。
悔しいから・・ちょっとイタズラしてやるんだから!)
美鶴がその声に向かって言葉を出そうと立ち上がった次の瞬間。その声の主は楽しそうに笑いながら遠くに去ったのがわかった。
「ジュースも良いけど、アイスもいいな。えーと・・美鶴はチョコミントなら食べるんだよね?」
甘い物が苦手な美鶴はビターなチョコなら何とか口にしてくれる。ミントは元々好きなのでチョコミントアイスなら亘に付き合って食べてくれた。
自分はラムレーズンバニラのアイスを手にしながら、先ほどのベンチに戻ると美鶴の姿が無かった。
「あれ?何処いったんだろ?」
亘はキョロキョロと辺りを見回すとちょっと行ったところにある、植え込みの茂みからチョイチョイと手招きする手が見えた。
そして、小さな声で「亘・・・」と呼ぶ声も聞こえた。亘は駆け寄る。
「美鶴?なにやってんのさ。何でそんなとこにいるの?」
そう言いながら、アイスを手に亘は植え込みの奥へ回り込む。そして思いっきりそのアイスを落としてしまいました。
「チョコミント・・・もったいないな」
恨めしげに足元に落とされたアイスを見ながら、何よりもかによりも自分を襲った理不尽に腹を立てながら、眉を寄せて顔をしかめ、ずり落ちそうなジーパン、ブカブカになったTシャツを手で抑えながら。
芝生にしゃがみこんでる推定年齢5~7歳の芦川美鶴さんがそこにいました。
「な、な、何が起きたのっっ?!」
とにもかくにもその格好じゃどうしようもないと、亘が買って来た子供用の服に素早く着替える美鶴に、亘はパニクッた声を出す。
「話せば長くなる・・・原因はわかってるんだ。とにかくここじゃどうしようもない。まず家に帰ろう」
「帰るったって・・・その姿で?」
「・・・・・・」
美鶴は改めて自分の姿を振り返る。何処からどう見ても子供になってしまった自分。
しかもテーマーパークで売られてる子供用の服というのは、なぜにこんなに無駄に可愛く出来ているのだ。
亘が買ってきたのはパーカーとズボンだったのだが、なんせ慌ててたからパーカーのフードの部分には耳が。ズボンの後ろの方にはシッポが付いていたなんて気づかなかったのだ。
美鶴が子猫ちゃん!に変身するなんて思わなかったのだ。
「美鶴・・・可愛い・・」
どうにもこうにも抑える事の出来ない、含み笑いをしながら亘は思わず美鶴を抱きあげ、ギュッと抱きしめてしまった。
「わ、わ、亘っ!」
「そうだ。うちおいでよ!今日から母さん出張でいないから大丈夫!そのままで帰る訳に行かないだろ?泊まってけばいいよ。面倒見てあげるから」
普段の亘からは、まずありえないハグ状態プラス眩暈がする申し出に、美鶴はなぜにこうなってしまったのが自分なのかと唇を噛む。
いや、そういえば以前、亘もこんな目にあってたか。でもあの時はこんな猫耳、猫シッポのオプションなんかなかったぞ!
こういうカッコなら似合うのは断然、亘だろう!くそう。元に戻ったら何がなんでも亘にこのカッコをさせてやる!
それに、せっかく泊まったってこれじゃ何も出来やしない!滅多に無いチャンスがっ!とか何とかすでにもう、何がなにやらになってる美鶴だった。
「美鶴、夕飯なに食べたい?好きなもの作ったげるよ」
この服のままでは嫌だ!と美鶴がごねたため、二人は帰る途中、スーパーに寄っていた。
そこで普通の服を買って着替え、ついでに夕飯の買い物をしようと亘が言った。
「煮物」
間髪いれずに帰ってきた返事に亘がクスクス苦笑する。
「どうせならもっと子供らしいメニューにすりゃいいのに・・カレーライスとかオムライスとかさ」
「俺は子供じゃない」
いえ、どう見ても子供なんです。いま現在は。
片手にスーパーの籠を持ち、片手は小さくなった美鶴の手をしっかり握りながら亘はなんとなく嬉しかった。
美鶴にしてみれば、いまのこの状況はかなり理不尽なものなのだろうが、亘にしてみれば何時も何かと自分の先を行ってしまう美鶴がこうやって自分を頼らざるを得なくなっている事が単純に嬉しかった。
子供である、という事はそれだけでこんなにも保護本能をくすぐるものなんだなぁ。例え相手が美鶴でも。
そう思うとなんとなく笑いが止まらなかった。
「よー!亘じゃん。あれ?何だそのチビ?」
「カッちゃん!」
後ろを振り返ると、そこにはス-パーの袋を手にぶら下げたカッちゃんが不思議そうな顔をしてじっと美鶴を見ていた。
「近所のガキ?」
「・・う、うん。えーとね。イ、イトコ。イトコの子」
「ふーん・・・なんかどっかで見た事あるような気がすんなぁ・・前にも会ったことあるか?」
「え?そ、そう?気のせいじゃないかな」
「そうかぁ?・・まぁ、いいや。それより今日、亘んちに泊まっていいか?オモシロビデオを借りたから一緒に見ようぜ」
顔を背けるようにして、亘の後ろにいた美鶴の肩がそのセリフを聞いて思いっきり揺れた。
「オイ」
「ん?」
亘の後ろから美鶴は暗雲をしょってズズイと現れると、子供とは思えないドスの聞いた声で言った。
「おまえ・・まさか、しよっちゅう亘のうちに泊まってるのか・・?」
「あ?なんだぁ?生意気な口のきき方するガキだなぁ。そうだよ。わるいか?お兄ちゃん方は仲いいんだヨ!」
そう言って舌を出して、おどけるカッちゃんに美鶴は亘が止める間もなく、弁慶の泣き所めがけて思い切りキックを見舞った。
「イッテーーーッッッ!!!」
「わぁっ!美鶴ーー!!」
亘は慌てて美鶴を抱えると、ダッシュでスーパーを飛び出す。「ゴメン!!カッちゃん急ぐからっー!」
うずくまるカッちゃんを申し訳なさそうに後にしながら、亘は家へと急いだ。
「まったく・・何てことすんのさ!ダメだろ?」
家に着いてすぐ、美鶴の目線まで亘はかがみこむとメッとばかりに美鶴をしかった。
美鶴はブスッとそっぽを向いている。いま自分がこんな姿でなければ美鶴の方こそ、亘に向かってどういうことだ、と押し倒しながら詰問してやりたい気持ちでいっぱいだった。
小村のやつ小村のやつ・・・俺の知らない間にいつの間にいつの間に。・・元に戻ったら、覚えてろよ。
どうにもこうにも、小さくなったはずの美鶴はその姿と反比例するように暗黒オーラを纏っていくようだ。
「もう、あんな事したらダメだからね。さ、じゃ。お風呂入ろ」
そう言って美鶴の服を脱がせようとする亘に一瞬にして暗黒オーラを消去された美鶴は、目をパチクリと見開いて聞き返してしまった。
「は?」
「ちょうど、お風呂沸いてるし。ご飯の前に入っちゃお!」
美鶴の両手をバンザイさせながら服を脱がしかかった亘に美鶴は慌てた声を上げた。
「ちょ・・まっ・・いい!風呂はいい!」
「ダメだよ。外いってきて汚れてるんだから!ほら!僕も一緒に入るからさ」
言いながら、亘は自分のシャツも脱いでいく。
わああああああああああああ!!!
声にならない悲鳴を上げたような、上げないような。
今までの中で一番、なぜ今俺は子供なんだ!と、思った瞬間でした。
スヤスヤと自分を抱きこむように眠る亘の腕をそっと解くと、美鶴は上着を羽織って静かに家を出た。
「ラウ導師・・・」
真夜中の三橋神社。もう何度か書いてるのでしつこいような気もしますが、ここには幻界と現世を結ぶ通路があって美鶴だけがそれを開くことが出来るのです。(て、事になってるんですよ。当サイトでは!)
ゆらりと揺らめく光が現れたと思うと、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「おや、ミツルか。しばらく見ないうちに随分と縮んだのぅ」
「悪いんですが、今は突っ込む気力もありません。正直・・以前、亘が小さくなったときよりも自制心の限界を迎えてるんだ・・・」
そりゃ、そうだろう。なんだかんだ言ったってあの時美鶴はまだ小学生でした。けれど、今は思春期真っ只中の高校生男子。
しかも、相手は美鶴が小さくなった為、必要以上に子ども扱いしてくる天然高校生男子。
つまりそれはどういう事かと言いますと。
頼むから、今すぐ俺を元に戻してくれっ!一生に一度あるかないかのチャンスが次々目の前を素通りしていくんだっーー!!
と、いう訳で気力、体力、自制心が三つ巴でボロボロになっている美鶴だった。
「そんな事言われても今回はわしのせいじゃないぞ」
「わかってます・・・ほら、すぐ傍にいる・・ソイツのせいだ」
美鶴はラウ導師のすぐ後ろの空に向かって指差した。
一瞬空気が震えたような感じがしたと思ったら、すぐにその声は聞こえてきた。
(やぁね。ほんと。ミツルって鋭いんだから。ワタルに比べるとまったく可愛げ無いわ!)
「大きなお世話だ!いいからサッサッと俺を元に戻せ」
(いやっていったら?)
「そっちがその気ならいくらでも相手になる」
今度は美鶴の周りの空気が震えて、辺りに不穏な風が吹き始めた。ラウ導師が慌てた声で二人を止める。
「こりゃこりゃ!二人とも止めなさい。こんなとこでガチンコ対決なんかしたら大変なことになりますぞ。
オンバさま!どうか、ここはひとつ大人になってミツルにかけた術を解いてやりなされ」
オンバ様、と呼びかけられた声はため息をつくと、わざとらしい声で言った。
(あーあ・・つまんない・・わかったわよ。戻せばいいんでしょ!戻せば!方法を教えるわよ!)
美鶴はホッと息をつくと不穏な風をおさめる。オンバが続けた。
(ワタルにキスして貰えばすぐもとに戻れるわよ。いい?・・・ミツルからじゃダメよ!
くれぐれもワタルからのキスじゃなきゃ戻らないわよ。わかった?じゃ、がんばってね!ミツル~)
高らかな笑いと共にオンバの声は遠ざかり、後には呆然とした美鶴と困ったもんじゃ、という顔のラウ導師様がいた。
疲れ果て戻ってみれば、亘はまだスヤスヤと寝息を立てていた。美鶴はその横にそっと寝転がると亘の寝顔をじっと見た。
幸せそうな、満足そうな安らかな寝顔。こんな寝顔を見せられたら、たとえこの姿じゃなくても邪心は湧かない。
美鶴は優しい気持ちが自分のなかに広がるのを感じながらフッと微笑んだ。
さてさて・・・それにしても、オンバのいう方法は実のところかなりの至難の業だ。美鶴からのキスでいいならそれこそ、この瞬間でも亘の寝こみを襲えばいいだけの話だが(邪心はわかないんじゃなかったのか?)亘から、となると・・・
小さい子供のおねだりのようにお願いすればしてくれるだろうか。
正直、それでも亘なら恥ずかしがって動いてくれない気がする。ついでにいうとせっかくなんだから一瞬じゃつまらない。
どうせならしっかりかっきり、して貰いたいし・・・などと美鶴の思考がどんどんあさっての方向に行きはじめた時。
亘がいきなり両手を伸ばして来て、クルン!と美鶴を包んで抱き込ん出来た。
「!!」
ぎゅうーと自分を抱きしめてくる亘に、美鶴は心臓を跳ね上げながらもじっとしていた。
「んん・・やだぁ・・まだ、遊ぼ・・美鶴ってばぁ・・」
そう言って亘はフルフルと頭を振る。どうやら昼間行ったテーマパークで遊んでいる夢をみているようだった。
あれだけ遊んだのに、よくまぁ、夢の中でも遊べるもんだと美鶴はあきれながら感心する。
しばらくそんな寝言を呟いてたかと思うと亘は更に美鶴を強く抱きしめながら静かに囁いた。
「ん・・・美鶴・・僕にも」
「?・・」
「ちょうだい・・・」
いままでの寝言と何か違うなと美鶴は顔を上げる。
すると亘は寝言を呟きながら、ゆっくりその顔を美鶴に近づけて来た。・・・そっとその吐息を近づけて来た。
美鶴は大きく目を瞬かせる。
「チョコミントの・・アイス・・ひと口・・僕にもひと口・・ちょうだい・・・」
落としてしまったチョコミント。
食べられなかったチョコミントアイス。
亘は食べようとしている。夢の中で恐らく美鶴が食べているのだろうそのアイスを。
いま・・・亘は食べようとしていた・・・
ね・・・ひとくち、ちょうだい・・・
チュ・・・
「ん・・甘い・・美味しい・・」
そう言って亘は目を閉じたまま静かに微笑んだ。
そして美鶴から手を離すとゴロリと向こうに寝返りを打ち、今度はもう寝言も呟かず、また安らかな寝息を立て始めた。
美鶴は手を伸ばす。
その長くて綺麗な指をそっと亘の髪に伸ばし、優しく梳いた。
さて、明日目覚めたら亘はどんな顔をするだろう。
驚いて顔を赤くするか。はたまた良かったねと喜んでくれるか。どちらにせよ、どうやって元に戻ったのかを聞いてくるだろう。
そのときなんて答えようか。
亘、夢の中でチョコミントアイスを食べただろ?と言ってみるか。
なんにせよ、チョコミントアイスのお返しは明日、亘がきちんと目覚めたら有無を言わさずしっかりハッキリ返させて貰おう・・・と、
美鶴は心に誓ってそっと亘の横に横たわって微笑みながら目を閉じた。
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