そしてハチャメチャクリスマス・・ちょっと早いけど出来ました。やっぱり私はこの小5男子4人組みが好きです!大好きです!!もう愛してます!たのむ!君らは一生つるんでいてくれぃ!!
聖なる夜のknightたち
クリスマスのイブのイブ。
芦川美鶴の何よりも大切な最愛の妹が熱を出した。
「アヤちゃん。風邪引いちゃったんだって?」
学校の帰り道。亘が美鶴に悲しそうに問い掛けた。
「ああ・・・」
その亘の更に悲しそうな声よりももっと悲惨な声色を出して美鶴は答えた。
「今流行りの風邪で2、3日は熱が下がらないって言われた」
「そっかぁ・・・」
ガックリと肩を落とし二人でため息をつく。今年は3人でクリスマスを祝おうと随分前から決めていたので残念感もひとしおだ。それにそれを何よりも楽しみにしていたのはアヤ自身だった。
「アヤちゃん・・・残念がってるだろうね・・・」
「・・・亘お兄ちゃんにごめんねって言ってくれって言われた」
「そんな・・・」
「アヤがきっといい子じゃなかったから・・・風邪なんかひいちゃったんだね、って泣いてたよ。そんなことあるか!っていったけどな・・」
亘は思わずグググッと溢れそうになる涙をこらえてしまった。
これは・・これは・・・こういうときは年上のお兄ちゃんとして。
自分にとっても実の妹と変わらない可憐な少女のために!何かせずにいられましょうか!
「美鶴!やろう!クリスマス!!」
「え?」
「パーティじゃなくたっていいよ・・なにか、こう・・アヤちゃんが喜びそうな・・」
「だって寝たきりだぞ」
「だからさ。寝たまんまでも喜んでもらえそうな事!やろう!」
亘は両手にこぶしを作って力強く叫んだ。
「え?アヤちゃん風邪引いたのか?」
「うん。そうなんだ。クリスマスとっても楽しみにしてたのに・・・」
「・・・かわいそうだな」
心底悲しそうな声を出して宮原は答えた。昼休みの図書室。亘は宮原にも協力を仰ぐべく事の次第を説明していた。
彼にとって兄の芦川美鶴は鵺のごとき存在だが妹のアヤは一転して天使のような存在である。
その天使が悲しんでるのを知ったらやはり無視は出来ない。
「だからさ!皆でアヤちゃんがなにか喜ぶ事をやろうよ!」
「喜ぶったって・・・部屋に寝たきりなんだろう?どうするんだよ」
「フッフッフーン!」
そこに思い切りVサインをしたカッちゃんが現れた。こういうときは実は一番頼りになる存在だ。
「カッちゃん!どうだった?」
「バッチグー!に決まってるだろ!俺を甘く見ンなよ」
「さっすがぁ!」
目をパチクリさせてる宮原の横で亘とカッちゃんはパチン!と手を合わせた。
「花火?!」
「オウ!親父達が商店街のお祭りで使った打ち上げ花火が残ってたんだ」
ここは亘の家。おやつを食べながらみんなで当日の段取りを打ち合わせていた。
亘たちの考えた計画はこうだった。
アヤは熱があって寝たきりでベットから起きる事は出来ない。
でもベットの横の窓からちょうど広い公園が見渡せる。そこの公園から花火を打ち上げて見せてあげようという物だった。
「真冬に花火?!」
宮原が驚きの声をあげる。大丈夫なのか?いや、それよりそんな打ち上げ花火なんて俺たちで打ち上げられるのか?
「何事かって消防車や警察が飛んでくるよ!」
いい計画だとは思いつつも現実的に考えるとかなり無理のある提案に宮原はさすがに待ったをかける。
「来たって平気だ」
キッパリとした口調で美鶴は言った。
「何で断言できるんだよ!」宮原が問い掛ける。いくら芦川といえども大人相手に当日のそんな状況をどうやって繕うって言うんだ。
美鶴は一枚の紙を広げた。
「?なんだよ。それ?」
「この打ち上げ花火は城東第一小学校のイベントの一環として許可した物です。全ての責任は城東第一小学校教師一同が負いますので御了承ください」
美鶴はスラスラと読み上げた。最後の方にはきちんと校長先生の署名と判まで押してあった。
「・・・・芦川・・・それ・・どうやって・・」
宮原は呆気に採られながら聞いた。美鶴は口の端だけで笑うと言った。
「・・・聞きたいか?」
いえ、やめておきます・・・・宮原は思わず両手で耳をふさいだ。
「とにかくこれで何かあっても当日の打ち上げに問題はないわけだ」
「後はタイミングだよね。アヤちゃんには内緒でビックリさせたいからうまく窓の外を見てくれるようにしたいんだ」
「そこらへんは俺が叔母さんにうまく頼む」
「うん。頼むよ。美鶴」
あれよあれよと計画が進むのを宮原は只見守っているしかなかった。
こいつらって・・・こういう時は普段信じられない団結力を発揮するなぁ。
思わず感心してボーとしてたら亘に肩をつつかれた。
「・・・てよ!宮原ってば。聞いてんのっ?」
「え?あ、ご、ごめんなに?」
「もう!ちゃんと聞いてよ。花火が終わったら最後にアヤちゃんにプレゼント渡すの頼むよって!」
「え?おれが?」
「そうだよ。ちゃんとサンタのカッコしてね。僕や美鶴だとばれたら困るだろ」
「う、うん。なるほど。わかったよ」
「窓からね。ちゃんとうまく渡すんだよ」
「ああ、わかったよ・・・って?!まどっ?窓って?!」
「そうだよ。じゃないとサンタらしくないじゃん」
らしくないじゃん・・・て。あのー・・・聞いてもいいですか?確か芦川の部屋はマンションの3階だったんじゃ・・・
「どうやって上るんだよっ!!」
「心配すンな。ちゃんと梯子も父ちゃんから借りてあるから。3階くらいなら楽に届くゼ」
またもやカッちゃんが胸を張る。はー・・・そうですかって。
梯子で?サンタのカッコして?プレゼント持って?
宮原はその場で眩暈がして倒れこんだ。
当日はくしくも雪の振るホワイトクリスマスとなった。
亘たちはすでにアヤの部屋から見える公園に集合してスタンバッていた。
打ち上げ花火は全部で3本しかないのでなんとしてでも失敗するわけには行かない。
時間が来るまでしけらないよう大きなビニールカバーをかぶせてあった。
宮原はすでにサンタの格好をさせられている。
「宮原。似合うよ!」亘はウキウキといった。
「動きづらい・・・」あごひげの下でため息をつきながら宮原はいった。
一方やはり熱は下がらずベットに寝たままクリスマスを迎えることとなったアヤは悲しそうな顔で窓の外を見ていた。
「ちゃんと寝なきゃ早く治らないわよ」
叔母が現れてアヤに薬を渡す。苦い薬をがんばって口に含み飲み込んでアヤは顔を上げると聞いた。
「お兄ちゃんは?」
「夕方からどっか出かけたのよ。多分アヤにプレゼント買ってくるんじゃない?さ、だからおとなしく寝てようね」
「・・・うん」
寂しそうに毛布にもぐりこむとアヤはうなずいた。窓のカーテンをさりげなく閉める振りをしながら叔母は外にいる亘たちに合図を送った。
「あ!」
亘が合図に気づく。
「叔母さんからの合図だ!カッちゃんいくよ。いい?」
「OK!」
カッちゃんと美鶴が火の手を持って打ち上げ花火に着火する。すると同時に素早く花火から飛びのいて離れる。
離れてすぐに花火はドン!という大きな音共に打ちあがった。
パパパーン!
真っ白な雪が舞い落ちる中に色鮮やかな花火が花開く。
窓の外を見ていたアヤは何が起きたのかビックリして光のほうを見つめた。
「え?花火?・・・叔母さん!・・・叔母さん!・・・花火?花火よ!」
叔母の方を振り返り、大きな声で叫ぶ。熱があるのにベットの上に起きだして窓ガラスに顔をぴったりくっつけて空を見上げた。
「あら。ほんと。きっとアヤがいい子だからサンタさんがプレゼントしてくれたのね」
「え?・・・」
「絶対そうよ。ほら!また!」
ドーン!・・・パパパーン・・・花火がまた舞い上がり七色の光を放ってアヤを包む。
「きれい・・・」
アヤは頬を上気させて花火に見入った。最後の花火が打ちあがり顔を上げてそれに見いっていたアヤはふと窓の外に誰かがいるのに気づいた。
「きゃっ?」思わず窓から後ずさり窓の外の人物をじっと見る。「あっ?」
そして次の瞬間。その人物がなにものかに気づいて今度は慌てて窓を開けた。
「サンタさん?!」
「メリークリスマス!」
サンタはアヤに大きなプレゼントの包みを渡して頭を撫でた。そしてニッコリ笑っていった。
「アヤちゃんがとってもいい子だから僕らからプレゼントだよ」
言ってから宮原はハッとした。しまった!今はサンタなんだった!「僕らから」と言ってしまった。
内心でちょっと慌てたがアヤは気づく風もなくプレゼントの包みを抱きしめて瞳を潤ませた。
「・・・ありがとう。サンタさん・・・アヤ、アヤ・・すっごく嬉しい!」
そう言って思い切り宮原サンタに抱きついた。涙ぐみながら小さな顔を寄せてそっと頬にキスをしてきた。
「!!」
頭脳明晰冷静沈着の宮原祐太郎くん。今回二度目の軽い眩暈。
思わず梯子に架けていた足と手を滑らせた。
「あれ?サンタさん?あれ?」
いきなり消えたサンタにアヤは慌てた声を出し窓の外を覗き込もうとするのを叔母が慌てて引き止める。
「アヤ、良かったわね。さぁさぁ窓を閉めてもう休まなきゃだめよ。また熱が下がらなくなるわよ」
「でも、サンタさん・・・」
「サンタさんは忙しいのよ。世界中の子供たちのところに行かなきゃならないんだから。でも、ほらアヤがいい子だからちゃんと来てくれたでしょ?」
「うん!!わぁ!見て。おおきなテディベアのぬいぐるみよ!」
プレゼントを抱きしめてアヤは花火よりも満開の笑顔を浮かべた。
「・・・・大丈夫?・・宮原」
「・・・なんとか・・」
梯子から落ちてきた宮原を見て亘たちはダッシュで駆け寄り3人で宮原を受け止めていた。
「・・アヤと何してたんだ?」
刺のような美鶴の言葉に宮原は思わずギクリとする。
「な、なにって?」
「ずいぶん顔が近くなかったか?・・・」
「そ、そんなことないよ。す、すっごく・・・すっごく喜んでたよ!」
「ほんと?」
嬉しそうに亘が聞く。「うん」宮原は微笑んだ。
美鶴がプイッと横を向きながら全員に向かってポツリと言った。「・・・ありがとな」
照れくさそうなその声に亘が美鶴にしがみつく。
「良かったね。美鶴」亘の頭に手をやりながら美鶴も嬉しそうに微笑んだ。
パフン!
亘と美鶴の頭に雪球がぶつかる。二人は同時に振り返る。
「こら!いちゃついてんじゃねぇ!まだ後片付けが残ってんだぞ」
カッちゃんが雪球をこちらに放り、笑いながら叫んでいた。
「ぃやったなー!」
亘も負けじと雪球を作り投げる。ムキになって次々と二人で放り始めた。
「お、おい。ちょっと二人とも・・・」
パカン!
止めようとした宮原の頭にも雪球がぶつかってきた。「てっ?!」
振りかえれば美鶴が雪球を手にしてこちらを見ていた。
「さっきの話がまだ途中だったな。宮原」
「え?ちょ、ちょっと!芦川っ!わっ!タンマー!」
何時の間にやら雪合戦と化している亘たちの姿を窓のカーテンをそっとめくりながら叔母が微笑ましそうに見ていた。
「いいわね。アヤは。素敵なナイトが4人もいて」
「え?」
貰ったテディベアと一緒に毛布にもぐりこんでいたアヤが聞き返す。
「ううん」叔母はアヤの頭を撫でて微笑んだ。
外はまだ静かに雪が降りつづいている。
敵も味方もなくただ雪球を放り続け笑いあってる亘たちのうえに亘たちみんなの幸福を祝福するように・・・
・・・静かに静かに降り続いている。
Mary Christmas Happy Christmas!!
from four knights・・・
PR