やっと出来ましたけど・・・。なんかもう、悲しくなる位はずしてる上に、相も変わらずバカバカし過ぎて泣けてくる・・・。(でも書いてる間は楽しいんですよ!こーゆーの!涙)そろそろこのサイト、ミツワタかたってたらまずいんじゃないかという気がしてきました。
お心の広い方だけお読みください。もー!ホンと相変わらずですよ!・・・あううう。
あの子の体育着奪取せよ!小学生の世界というものは不思議なものだ。
大人から見れば有り得ない事や、常識から外れてるような事が、実(まこと)しやかに彼等の世界の真実になったりする。
これもその一つ。
運動会シーズンが近づくと、どこからともなく流れ始める、ある意味学園不思議話。城東小学校の七不思議伝説の一つ。
好きな相手の体育着を自分が着て、相手には自分の体育着を着せて。そしてグラウンドの真ん中でみんなの見ている前で手を繋ぐ。ただし運動会の前日までに。
────すると、あら不思議。二人は両想いになるんですって。
「バッカバッカしい!」
少しだけ荒い息をつき、朝教室に入るなりカバンを自分の机に叩きつけながら、美鶴が吐き捨てるように言った。それを見た宮原が苦笑しながら美鶴の傍にきてドウドウと美鶴を諌める。
「まぁまぁ。落ち着けよ芦川。占いと同じく不確かなものでも女子にとってみれば、それでもしかして両想いになれるんなら、是非とも試したいって思っても仕方ない事だよ?可愛いじゃないか」
「そんな訳わからない学園伝説に頼らなきゃ、成就しそうも無い恋なんかはなからするなって言うんだ!追い掛け回されるこっちの身にもなって見ろ。朝っぱらから忌々しい!」
そうこの時期、美鶴は小学校に一歩足を踏み入れた途端。
芦川くーーーーん!!私と体育着交換してぇぇぇ!の、美鶴目当ての女子一同に、女教師含む←()囲み───何が哀しくて放課後やらなきゃならないはずのリレーの練習を朝からしなけりゃいけないのだ!の、勢いで追い掛け回されるのである。
殺気めいた彼女たちに言葉は一切通用しないので、さすがの美鶴もひたすら走って逃げるしかないのだ。
幸いリレーの最終走者に選ばれる黄金の足は伊達ではなく、いまのところ欲にたけっている女子生徒の餌食にあわずに済んでいる。しかしもしまかり間違ってカバンの横にぶらさげている体育着入れの袋を、そのうちの誰かに奪われようものならどんな恐ろしい事態になるか、美鶴でさえ考えただけで背中に悪寒が走ってしまうほどなのだ。
そして何よりもかによりも。
こんな状態が続いているため、いつもなら一緒に行っている学校の登下校。美鶴は亘と全然通えない羽目に陥っていた。(亘が何かとばっちりを受けたら大変だから、美鶴からそう言ったのだ)
しかもクラスのなかでは亘の方が逆に美鶴が疲れてるみたいだからと、気を使って距離をとったりするもんだから、美鶴にとって見ればせっかく一日一緒にいられるはずの学校で亘という癒しを全く受ける事が出来ず、イライラ不機嫌感はこれ以上ないくらい超!マックス!
目が釣りあがり、今にも口から悪魔の召喚呪文が唱えられそうな雰囲気になっていた。
「いっそ、この学校の全員の体育着を燃やしてしまったらいいかもな・・・」
「落ち着けって!・・・そんなことしなくたって、もっと根本的解決の方法があるだろ?」
顔を伏せ、暗黒オーラを発し始めた美鶴を宮原が慌てて押し止める。美鶴が肩をぴくりと揺らして顔を上げた。
「・・・どういうことだ?」
「だから要するにさ。芦川くんはフリーだって皆思ってるから、我こそ彼女の座を勝ち取ろうと過激なバトルが勃発する訳だろ?」
宮原は人差し指を立てて、真分数と仮分数を説明するような教師の口調で続けた。
「だからつまり、芦川美鶴には体育着を交換したい相手がすでにいますってことをアピールしちゃえばいいんだよ?まぁ、ぶっちゃけ体育着交換して伝説通り、その相手と手、つないでグラウンドでみんなの前で見せてやれば少なくても今の騒動は落ち着くだろ?この際相手はどっかの女子を偽装しても・・・・」
宮原が言い終わるか終わらないかの内に眼の前の美鶴の姿が消えていた。
「芦川?!」
いきなり消失した美鶴の姿を探して、宮原が慌てて視線を泳がせて見れば、果たしてその先に亘の席に素早く移動し渾身の握りこぶしで、パチクリと目を見開いている亘に何事かを告げようとしている美鶴の姿があった。
「亘!俺と体育着交換し・・・」
「え?」
「待てぇぇぇぇーーーーーっ!!!芦川っ!」
美鶴の口から「体育着」という単語が発せられただけで、周りの女子の目つきが変わりいっせいに殺気だった。
宮原は美鶴の腕をファントムジェット機の勢いで掴んで引っ張ると、廊下の隅に連れ出した。
「バカかっ?!あんなにたくさん女子のいる前で堂々と三谷と体育着交換なんかして見ろ?三谷がどんな目にあうかわからないぞ?落ち着け!
・・・大体なぁ。三谷はあれでも(あれでも?)男子なんだからいくらなんでも体育着交換なんかしてくれるわけ無いだろう?」
「なぜだ?俺が体育着交換したいのは亘だけだぞっ!亘以外とそんな事死んだってしない!」
すでに正常行動正常判断不可能に陥っている美鶴に、宮原は肩を揺すって説得をはじめる。
「お前がそうだってのはわかってる!(わかるなよ)・・・だが、現実的に考えろ!現実的に三谷と体育着交換してグラウンドで全生徒が見てる前で手を繋げると思うのか?」
「思う」
即効即答一刀両断。
・・・・・・あ、そうですか。思わないわけは無いわけは無いわけですか。
宮原は、オーマイゴッドジェスチャアーで大げさに天を仰いで、今後の展開するであろう状況を神に祈った。
「まあなぁ・・・ぶっちゃけ、もう芦川が誰かと体育着交換して手を繋いだぞって噂流すだけでもいい気はするよな」
「でもよー、やっぱそれを見た!っていうだれか証人いないと学校中の女生徒は納得しないんじゃね?一応設定が学校の皆が見てる前、になってるんだしよ」
「うーん・・・そこらへんはいくらでもごまかしようはあると思うんだけどな」
「何、ごちゃごちゃ言ってるんだ?だから、俺は亘でいいってさっきから・・・・」
「小村、芦川を黙らせてくれ」
放課後。誰もいなくなった教室。芦川美鶴さんの先走った行動から三谷亘くんを守ろう緊急会議。
美鶴は血気だって口を開くたびに、カッちゃんから口の中にミルクストロベリーキャンディを放り込まれて苦虫を(甘いんですが)噛み潰していた。
「それによ。亘にはそれと気づかれないように体育着交換して手、繋ぐとこまでするんだろ?だったらいっそのこと体育の時間にニアミス的な感じでやったらどうだ?亘の知らないうちに体育着、芦川のと変えとくとか」
「そうだな・・・」
結局のところ、美鶴が亘との体育着交換をガンとして譲ろうとしないので、それから派生するであろう被害を最小に防ぐため、宮原とカッちゃんが知恵をひねっているという訳であった。
この伝説はかりにも男女の恋を成就させるという、いかにも小学校らしい、というより女の子の乙女的夢全開、と、言った感じの内容ばりばりなので亘に直で相談したところで、「なんで?僕、男の子じゃん!」と、怒って断られるのは間違いないのである・・・と、言う事が美鶴にはわからないのである。
にも、関わらずそこを譲ろうとしない美鶴に、宮原とカッちゃんは何とか双方の妥協案を探ろうとさっきから頭脳をフル回転させているのだ。その結果、多少亘には気の毒な提案ではあるが、今週運動会前の最後の体育の時間に、亘には黙って体育着を美鶴のものとすり替えておき、亘が気づいて怒り出す前にグラウンドで手を繋いじゃおう!と、いう事になったのであった。
「で、そこでなん人かの女子にそれを目撃させちゃえば、あっという間に噂が広まって、かくてこの件は一件落着するってもんだ」
「・・・・問題はそれを女生徒達が納得するかだなぁ。なんせ、三谷はあれでも(くどいですが)一応男の子なんだから」
「全然問題ないだろ」
「芦川!・・・小村、キャンディ!」
「残念。もうキャンディなし!」
「大体、女ってのは自分よりレベルの高い相手には何も言えなくなるもんなんだ。亘がその辺の女子より可愛いのなんて一目瞭然なんだから、それを大いに思い知らせてやればいい」
なんといいますか・・・。
強引この上ない、でも妙な説得力のある美鶴の力の入った台詞に、宮原とカッちゃんは思わず押し黙ってしまった。
「具体的にどういうことだよ?」
「最近、亘は忙しくて髪を切りに行く暇がないって零してる」
「・・・・・は?」
「それでたまにうちに来て、夕飯なんか作ってくれるときに髪が邪魔だ邪魔って言ってて。俺はそのホワホワした亘のヘアスタイルもエプロン姿に合ってて可愛くて好きなんだけどな」
「・・・・・・・・・・」
この男はどこに行くつもりなんだろうか?・・・・。
うっとりと遠く夢を馳せるようにそう言う美鶴に、無言でいるしかない宮原とカッちゃんは美鶴の次の言葉に目を瞠った。
「そしたらある日、それを見てたアヤがリボンつきのカラーヘアゴムを二つ持って来た」
はーい!!先生!わかりました!
カッちゃんが片手を思い切り伸ばして、我先にその問題の答えを答えんと座っていた椅子から勢いよく立ち上がり叫んだ。
「ツインテールかっ?!」
美鶴が片手をグッと握りこむ。ハイ正解。
「ちょっと短めなのがより可愛さを増幅してた」
────体育着とツインテール。
「それはまた、最強な組み合わせだ・・・・」
三人の影法師が足元に長くのびはじめ、そとでは落ち葉が茜色に染まりハラハラと舞う放課後。
───宮原の感心したような、悟りを開いたような一言が、教室の中に妙に響いていた。
「あれー?」
「亘、どした?」
次の体育の時間のため、男子がまずがやがやと着替えてる教室の中。自分のロッカーの前に佇みながら亘が困惑の声をあげた。
「うん・・・体育着入れてるカバンが見当たらないんだ。おかしいな?朝ちゃんと掛けといたのに。どうしよ。もう着替えないと女子の着替えの時間になっちゃう」
チラリ。
そりゃ、おかしいなぁとか心配風を装いながら、カッちゃんは宮原の方に視線を投げかける。
「三谷ー!これじゃないか?」
「え?」
宮原が後ろからさりげなく、カバンを取り出してくる。亘は宮原に走りよると、安心したように言った。
「あ、ホンとだ。良かったぁ!どこにあったの?」
「そこに落ちてた。きっと誰かがちょっと悪ふざけしたんだよ。ホラ、早く着替えないと。女子が待ってるし」
「わっ、そうだよね。急がなきゃ!・・・あれ?そういえば美鶴は?」
「ボール出したりする係りだから、先に行くってよ」
「あ、そうかー、きょうドッジボールだもんね。楽しみ!」
慌てながらそれでもニコニコと着替え始めた亘を、宮原とカッちゃんは周りに注意しながら、慎重に見守る。亘はシャツに袖を通し終わると、少し首を傾けて不思議そうな声を出した。
「あれ?・・・なんかちょっと大きいような気がする・・・」
「さー!いくぞいくぞ!今日こそブッチで勝ち進むぜ!ホラ、亘早く早く!」
「え?わっ・・!カッちゃん?ちょ、まっ・・・」
シャツに付いている名前の部分を亘が確認しようとする前に、カッちゃんは勢いよく亘の手をひっぱり有無を言わさず、グラウンドに連れ出していた。その後ろから宮原がさりげなく女子の視線をガードしながら。
「対抗戦をするのに女子の数が足りないんだ」
グラウンドに入る手前の水のみ場の前、なぜか隠れるようにしながら亘たちはいた。そしてドッジボールを片手に掲げた美鶴が亘に向かってそう言った。
なんだかよくわからない状況で、気がつけばなぜか自分の両隣には、カッちゃんと宮原が自分を挟むように───要するにどう考えてもこの場から逃げられないように───いて、亘はいったい何が起きたのかと真ん丸い目を更に真ん丸くさせる。
「は・・・?」
「だからバランスをとるのに誰か一人、チームに女子の代わりに入らなきゃならない」
「う、うん・・?」
「亘、入ってくれるか?」
「え・・?それはいいけど。でも結局、男の僕が入っても力のバランスはとれないんじゃ・・・」
亘が言い終わらないうちに、気がつけばカッちゃんはヘアブラシ、宮原は超キュートなリボンのついたヘアゴムをいつのまにかそれぞれの手に持ち、まるでスタイリストのように亘の横に身構えていた。
「え?ちょ・・・?!わぁっ?何するんだよ?!カッちゃん、宮原!」
「暴れるなよ。髪をまとめられないだろ!」
目にも止まらぬほどのスピードで宮原が亘の髪をヘアゴムでくくり始め、仕上がったツインテールをカッちゃんがブラシで梳いた。
亘は暴れる間もなく、自分の身に何が起きたのかそのあまりの一瞬の出来事に、ただ呆然と立ち尽くしてしまった。
「おおお・・・ナイス!いけてるじゃん?さすがだな宮原。神業だ」
「毎朝、チビのツインテールやってやってるからな・・・芦川も出来そうなもんだけど」
「アヤの髪はいつも叔母がやってるんだ。・・・そんな事よりやっぱり可愛いな。・・亘」
感心しながら銘々感想を述べあってる三人に亘は我に返ると、真っ赤になって両手を振り回して叫んだ。
「ちょ、待てーー?なんだよこれ?!・・・な、なんのつもりだよー?!い、いくら女子の代わりするからって、なんでこんな頭しなきゃいけないのさ?おかしいじゃんーーー!」
「亘」
いつの間にやら至近距離に近づいてきて、見た事ないくらい真剣な瞳をした美鶴が亘の手をそっととって力強く囁いた。
「大丈夫だ。全然おかしくない。そんじょそこらの女子よりパーフェクトに可愛い!」
・・・・・・・・・・・・・・違います!おかしいってそう言う意味じゃなくて!!
「よっしゃ!じゃ行け。芦川!」
「え?わあっ?」
美鶴は掴んでいた亘の手をしっかり握り締めると、その手を引いてグラウンドに飛び出していった。
ようやく着替えた女子がぱらぱらグラウンドに何人か向かい始めていた。担任の先生はまだ来ていない。
美鶴は亘の手を引いたまま、ぐんぐんグラウンドの中央に向かっていく。
ざわ・・・。
まばらな何人かの女子がそれに気づき、ざわめき始めた。
「・・・芦川くん?」
「え?隣の子誰?」
「ちょっと見て?あの子の着てる体育着の名前!」
「誰?あの子だれっ?」
「───あの女の子!芦川くんの体育着、着てるっ!」
一人の女子が思い切りよく、それこそグラウンド中に響く声で、そう叫んだ。
次の瞬間。
ざわわわわ!ガタガタガタ!
学校中の教室の窓という窓が開き、ほとんど全校全ての女子が身を乗り出してグラウンドを覗き込んでいた。
「グラウンドで芦川くんと手を繋いでるあの女の子だれっ?!───」
まさに怪我の功名というべきか。
ツインテールのヘアスタイルをさせられ、恥ずかしさのあまり頬を真っ赤にさせている亘は、どこからどう見ても女の子にしか見えないらしく、学校中の女子はどうやら美鶴がどこかの女子と体育着交換をして、グラウンドで手を繋いでいるとそろって勘違いしたようだった。
そして更に幸いというべきか、美鶴が着ている亘の体育着は名前の縫い取りが小さかった為、どうやら亘の物だということも気づかれていないようである。
その状況を見た宮原は光速で次の判断を下す事に決め、カッちゃんに声を掛ける。
「小村!もう、充分だ。女子が二人に近づいて三谷に気づかれる前に、二人を元に戻すぞ!」
「オッケィ!俺もそう思ってた!」
カッちゃんはリレー選手に負けず劣らずの脚力で美鶴と亘に近づくと、二人の肩をつかんで女子が殺気だって向かってくるのと反対方向に二人を引っ張って行こうとする。亘はようやく己があの学校の不思議伝説の為に、その人身御供にさせられたのだという事に気づき、目をウルウルさせていた。
「カ、カ、カっちゃん・・・・」
「わりぃわりぃ!亘・・・もう終わったからよ。怒るな怒るな!今度やりたがってたゲームのソフト貸してやるからさー」
「撤収か?小村」
「目的は果たしたろ?このまんまだと亘が女子にとっ捕まってえらいことになるぜ」
カッちゃんがそう言うのを聞くや、思案気にしていた美鶴はまだ繋いだままになっている亘の手を引き、亘をグイッと自分の方に近づけ、もう片方の手で亘の顎を掴む。亘の短めのツインテールがふわりと揺れた。
「え・・・」
「あ」
チュ・・・!
─────きゃああああああああああああ!!!
そのシーンを見た瞬間、宮原は目を点にして天を仰いだ。
そしてこちらに向かっていた女生徒は全員足が一瞬にして凍りつき、次にものすごい嬌声と罵声を張り上げた。
「だ、だれよ?あの子誰よー?小村待ちなさいよー!その子誰よ?何年生のどこのクラスの子よー?」
「さあ、知らねー!どっかの不思議の国のお姫様だろー?」
カッちゃんは慌てながらそう叫ぶと素早く学校の中でも、カッちゃんいわく誰も知らない学校の中の俺の秘密基地場所に美鶴と亘を連れて行って、即効でお互いの体育着を交換させ、亘のヘアスタイルを元に戻した。
そして何食わぬ顔でグラウンドに戻ってみれば、学校中の女子の間で「あの子誰だったのよ?!」の、話が喧喧ごうごうと大騒ぎになっており、運動会の練習がメインの今はたまにしか出来ないはずの楽しみしていたドッジボールは、それどころではない状況の中お流れになってしまったのであった。
「宮原もカッちゃんも・・・そして美鶴も!しばらく口聞かないからねっーー!」
事の全てが終わった放課後。
涙目になって真っ赤な顔で両手を握り締めて、亘はしばらくの絶交宣言を宮原とカッちゃんと美鶴に向かって叩きつけ、サッサと走って先に帰ってしまった。
宮原はまぁ仕方ないよなぁと、小さな溜め息を付き、カッちゃんは亘のしばらくだから多分一週間くらいのもんだぜ、と頭の後ろで気楽そうに手を組み、美鶴はこの世の終わりを宣言されたかのように呆然としていた。
「仕方ないだろ?芦川。・・・最後の『あれ』はどう考えても余計だったし。まぁ、気持ちはわからなくはないけどさ」
「確かに超可愛かったもんなー!全く似合いすぎだよな、亘のヤツ!」
その姿を思い浮かべるかのように微笑んでいる宮原とカッちゃんを、美鶴はギラリと睨むと宣言するように呟く。
「俺のものだからな・・・」
───・・・・はい、わかってます。ええでも芦川くん。全ての現況はキミのその恐ろしいまでの独占欲が発端なんだけどね。
運動会が終われば、もう直にこの辺も冬の様子が迫ってくる。心なしか自分たちを包む空気がヒンヤリしてきた今日この頃、宮原とカッちゃんは二人で悟りの溜め息を付くのであった。
さて次の日。いつものヘアスタイルよりも、少々短めにバッサリ髪を切った亘が現れ、美鶴以外の二人は少しだけ驚愕した。けれど美鶴はなんだかんだで亘なら結局なんでもいいらしく、その短めのヘアスタイルにも新鮮さがあって可愛い!連発して、最終的に呆れた亘はしていた絶交がバカらしくなってしまい、その日には美鶴と仲直りをしてしまったとか言うそういうオチ。
そして結局その正体が謎だった美鶴と手を繋いだツインテールの可愛い子は、どうやらこの学校に住んでる天使で誰かが困った時には、助けに現れるのだという伝説をもうひとつ城東小学校に増やしたとか言うそういう────オチ。
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