あああ・・またなんかタイトルに意味がないような・・・リクエスト小説第2弾!リクエストは「美鶴さんの回し蹴りとスレ亘」でした。これ、もしかしたら別個のリクエストだったのか?すすすいません!まとめてしまいました!
・・・そしてそして何が何でこうなったのか美鶴女装ネタになってしまいました。・・・しししかも、ちょっとみつ宮(宮みつ?)がっっ!!すいません!すいません!今までの中で一番ダメ話かもしんない・・・(そんなもん捧げる気か!)
subaruさま!リクエスト有難うございました。謹んで御捧げいたします。(いらなかったらごめんなさい。大汗)
彼の思惑、彼女の秘密
人生という物は本当に一寸先はわからない。
まだ自分は11年しか生きていないのに今日宮原祐太朗はそれを痛感した。
「お見合いぃぃぃっっ!?」
思い切り素っ頓狂な声を出したのはカッちゃんだ。
放課後の公園。滑り台をベンチ代わりにしながら3人はいた。
亘は目をキラキラさせながら興奮してしゃべる。「へー!すごいすごい!やっぱり宮原だなーかっこいい!」
何がすごくて何がかっこいいんだかわからないが大人がする事を宮原がする、という事に亘はやたらと感心していた。
「・・・そんないいもんじゃないよ」ため息をつきながら宮原は言った。
先日父の仕事場の上司にあたる人間が宮原のうちにやってきた。
病気で入院していたその上司は無事退院したので快気祝いを持ってやってきたのだ。
その場の雰囲気で宮原がお茶を出したりしてたのだが、なんだかその上司はやたら宮原を気に入ったようだった。
「いやぁ、いまどきの子とは思えないくらい、礼儀正しくていいお子さんだ。祐太朗くんはいくつだい?」
「11歳です」「うちの孫と歳が近いなぁ」退院できた喜びで多分浮かれてるのもあるのだろう。その上司はポンと手を叩くとこう言った。
「どうだ?うちの孫と見合いせんかね」「・・・・ハァ?」
「うん!いい考えだ。そうだ。こういう事は意外に早いうちが良かったりするもんだからな。よしよし、そうしよう」
ハッハッハと笑いながらその上司は話を進めて帰ってしまった。
いい考えだ、じゃねー!そうしよう、じゃねー!宮原くんは叫びたかったともさ。
「じゃあ、ことわりゃいいじゃン!」あっさりとカッちゃんが言った。
「哀しき宮仕えの身にそんなことできると思うのか?」
「でもせっかくだから会ってみれば?すっごく可愛い子かもしれないよ」相変わらずキラキラしながらワクワクした口調で亘はいった。
「そうかもしれないけど・・・もし、それで話がどんどん進んだらどうする?正直まだ俺は婚約だの結婚だのなんて全然考えられないよ」
「そっか・・・」
本当に困りきってる宮原を見て亘達もさすがに口をつぐむ。
「じゃあ、もうこれしかないだろ!」カッちゃんがまさしくひらめいたといった感じで人差し指を立てる。
「ドラマなんかでよくあるジャン!もう俺には将来を約束した相手がいますってやつ。お見合い当日その相手を連れてけばいいんだよ!」
「・・・悪くないかもしれないけど・・・相手がいないよ」
「クラスの女子とかに頼めば?」なんかこんな話は前にも聞いた気がするなぁ、と思いながら亘がいう。(君に捧ぐ千の言葉参照・笑)
何だかんだいったって、優等生の宮原は実はもてるのだ。頼まれたらクラスの女子は喜んで引き受けるだろう。
「それは・・・ちょっと・・後でヘンな噂立ったりしても嫌だしなぁ・・・」
「うーん・・・」
「それに多分あの上司の人なら普通の女の子相手じゃ引かないと思う。よっぽど見た目も中身も完璧な相手じゃないと」
「見た目ねぇ・・・見た目だけならいっそ芦川あたりに女装でもさせて連れてけば文句ないかもな」
カッちゃんがハハハッ!もちろんジョーダンジョーダンと笑った。更に目をキラキラさせて亘が叫んだ。
「そうか!そうだよね!カッちゃんナイスアイディア!それ行こうよ。宮原」
ハイ?
「美鶴なら確かに見た目も中身も完璧じゃん!そうだよ。美鶴に頼もう」
いや、三谷くん。見た目はともかく中身は大いに問題あるでしょう。
「三谷・・・あの芦川がそんな事引き受けてくれると思うか?」「くれるよ。だって友達が困ってるんだよ?」
ええ。一般的に考えればそうなんです。
「僕が頼んでみるよ。大丈夫!親友の宮原のためだもん。きっと美鶴、力になってくれるよ」
こぶしを握り締めて亘は力説した。
そうか・・・俺って芦川の親友だったんだ・・・宮原くんは何故か遥か遠くを見てしまいましたよ。
「い、や、だ」亘の話を聞いて美鶴は即答する。ご丁寧に句読点つき。
「なんでさー!宮原すっごく困ってるんだよ!」
次の日。休み時間に亘は美鶴を廊下に連れ出して例の話を切り出した。
「それはわかったさ。でもだからって何で俺が女子にならなきゃなんないんだ?そんなのその辺の適当な女子に頼めばいいだろ」
「だからっ!それだと色々不都合があるから美鶴に頼んでるんじゃないかっ!」
コッソリ二人の後をつけ物陰からのぞいてた宮原とカッちゃんはああ、やっぱりなぁとため息をついていた。
「とにかく俺はごめんこうむる」頑として聞き入れようとしない美鶴に亘はとうとう最終手段に打って出た。
「ずるいよね・・・美鶴。自分は前、僕に女の子のかっこさせて彼女のふりさせたくせに・・・」
俯きながらポツリと言った。
「・・・あれは・・」可愛かったよなと、まだこりない事を考えてる美鶴に亘は更に追い討ちをかける。
「僕だって美鶴が女の子のかっこしたとこ見たいけどな・・・それで、デートしてみたいけどな・・・」
デート!その単語に美鶴が思い切り反応する。そして亘は更に更に最終の詰めをかけていく。
「それで遊園地行って二人っきりで・・・観覧車・・乗りたいけどな・・・」頬を染めながら亘は言った。
でました!最終キーワード!!観覧車に二人きり!これに反応しない健全(?)男子がいましょうか。
「わかった。やる」亘の手を取り、美鶴は即答した。「ほんと?ありがと!美鶴」美鶴の心はすでに観覧車に飛んでいる。亘はニッコリ微笑んだ。
「いいの・・・?三谷、あんな事言っちゃって・・」計画が動き始め、とりあえずは有難いんだがなんとなくこの先の前途多難を予測して宮原は心配になる。
「平気平気!ああ言っとけばとりあえず美鶴受けてくれると思ったんだ」
「でもデートとか何とかって・・・その・・いいの?」「え?あんなの嘘に決まってるじゃん!」はい?
「乗らないよー。観覧車なんて。退屈で僕好きじゃないもん。まさか美鶴があんなに反応するなんて思わなかった」
笑いながらぺロッと舌を出す亘に宮原は思った。
・・・あの、三谷亘くん・・・ひょっとして最近ちょっとスレた・・・?
「わっ!」「おおっ!」「・・・・」
「どう?我ながら会心の出来よ!これなら相手がどんな女の子だろうが文句は言えないわっ!」
お見合い当日。またもやこのミッションを聞きつけた美鶴の叔母が美鶴の女の子にヘンシーン!に手腕を発揮した。
された美鶴の姿はというと今流行りのパープルの優雅なワンピースに薄手のロングカーディガン。頭はさすがにそのままというわけに行かない為ウィッグをつけてこれまたパープルのリボンをつけて後ろにまとめている。
全体的にどうみても深窓のご令嬢。亘と宮原とカッちゃんは思わず見惚れてしまった。
「ああ、もう!うっとうしい!ひらひらする!歩きづらい!なんだこれ!女ってのは良くこんなもん穿けるな」
・・・そう、しゃべらなければ・・・
「ちょっとー!お嬢さま設定なのよ!もうちょっと優雅に振舞いなさいよ」化粧道具を片手にかざし叔母が叫ぶ。
めったに見る事の出来ないまれに見る美少女だというのに・・・3人はため息をついた。
お見合い場所に設定されたのはくしくも遊園地であった。お見合いといっても所詮は小学生同士。お互いがリラックスできる場所ということらしい。
「もうすぐその上司の人と孫である女の子が来ると思うから、そしたら打ち合わせ通りに頼むよ」
亘達が立てた計画とはこうだ。まずは宮原とその子で二人きりになり、そこに美鶴が現れる。(カッちゃん設定。出来れば泣きながら。笑)
そして宮原が実は自分達は幼馴染で小さいころから結婚の約束をしている。ですから申し訳ありませんが・・・この話はあなたからなかった事にしてくれませんか。と頼む・・・という非常にベタでありきたりな物だった。(忘れてはいけない。所詮彼らは小学生)
「バカバカしいな。いまどきの女子がそんな事で納得すると思うのか?」美鶴が怒ったように言った。美鶴にしてみれば一刻も早くこの茶番をすませて、亘と二人きりで観覧車に乗ることのほうが重要なのだ。
そのためにこんな格好をしたといっても過言ではない。さっさっとおわらせたいオーラがありありとしていた。
「じゃあ、どうすんだよ?」カッちゃんが口を尖らせて聞いた。
「とにかくこの見合いをぶち壊せばいいんだろう?」「それは・・そうだけど・・」宮原は嫌な予感がした。ついでに背中に悪寒が走る。
「だったら俺が責任もってぶち壊してやる。その代わり何があっても文句言うなよ」
美鶴のあまりの迫力に3人は思わず身震いした。
「いやいや、祐太朗くん良くきたね!ほらほらおまえも恥ずかしがらずに顔を見せなさい」
上機嫌で現れた上司は自分の後ろに隠れている少女に声をかける。
美少女とは言いがたいが小柄な可愛い感じのする少女だった。
「お見合いといっても堅くなる事はないさ。今日はここに一緒に遊びにきたつもりでまずはリラックスしなさい」
ニコニコしながら上司は言う。少女は恥ずかしそうに肯いていた。
「あ、あの実は・・・」宮原が口を開こうとしたその時・・・「お待ちください」
颯爽と美鶴が現れた。いきなり現れた超!がつく美少女に二人は思い切り驚愕している。
「だ、だれだね?きみは?」
「名前は明かせませんがそこにいる宮原くんのゆかりの者です」できるだけ声のトーンを高くしてたおやかに美鶴はしゃべる。
このままなら世界美少女コンテストにも出られるであろう。「祐太朗くんの?」驚きの声をあげる上司のそばを美鶴は駆け抜け「宮原くん・・・!」そういって思い切り、宮原に抱きついた。
「どうして?・・・忘れちゃったの?私との約束忘れちゃった?小さいころこうやって誓い合ったじゃない」
そして顔を上げるとそっと近づき宮原にキスをした。
「○!×!△!□!%!#!~!?~!?・・・!!!」
その場にいた全員フリーズ!ついでに影から事の成り行きを見ていた亘とカッちゃんも超フリーズ!
(腰に手ぐらい回せ!バカ!)耳元で美鶴が囁き、宮原の手を取って腰にまわす。
実を言うと美鶴はうまく角度を変えて唇と唇が触れ合う寸前でうまいこと寸止めしていたのだが、周りの人間にはわかる訳もなく二人が思い切り熱い抱擁を交し合ってるようにしか見えなかった。
「ゆ、祐太朗くん・・・これは一体・・・」大いに狼狽しながら上司は聞いた。
宮原の首に手を回しぎゅっと抱きつきながら美鶴が指示を出した。
(早く俺ともう婚約でも何でもしてるっていうんだよ!こういうのは勢いが大事なんだ!)
宮原はハッとすると慌てて美鶴を抱きしめ返し、しどろもどろになりながら言った。
「あ、あの・・要するに・・え、えと・・そうこの人は・・僕の、僕と将来を誓いあった相手なんです!」
上司と少女は二人して目をむいた。だがさすがに向こうは一応大人。フーッと大きなため息をつくとうんうんと肯きながら言った。
「そうか・・・なるほど。最近の若い子は進んでると聞いたが・・・君のような子がそういうなら真剣な付き合いなんだろう」
そして残念そうに少女の方を振り返ると帰ろうと促した。少女も黙って肯く。
「そんな綺麗な娘さんじゃどのみち孫は太刀打ちできないよ。祐太朗くん。その子を大事にな。お幸せに」
そして爽やかな笑顔を見せ二人は去っていった。彼らの姿が見えなくなるまで美鶴は宮原に抱きついたまま、宮原は宮原でまだ事態の把握が出来なくて呆けた顔をしていた。
「・・・終わったな」宮原から離れながら美鶴が言った。
「いつまで抱いてんだよ」「え?あ!ご、ごめんっ!!」
慌てて美鶴の腰から手を離すと宮原は真っ赤になった。美鶴は踵を返すと亘のいるところへ走っていく。
「亘!終わったぞ!行こう」亘の手を取って美鶴は観覧車の方へ向かおうとした。しかし亘はその手を振り切る。
「やだ・・・」「え?」俯きながら声を絞り出す亘に美鶴が目をぱちくりさせる。
「やだやだ!美鶴のバカー!不潔だよっ!きらいだー!」思い切り叫ぶと亘は泣きながら走っていってしまった。
「オ、オイ。亘っ!」カッちゃんが慌ててその後を追いかける。
・・・嫌な予感があたってしまった・・・宮原は天を仰ぎながらこの後の災難を覚悟する。
振り切られた美鶴は呆然とその場に立ち尽くしていた。
それを見つけた中学生くらいの3人組が寄ってきて美鶴に声をかけてきた。
「うわっ!彼女。超イケテルじゃん!一人?どう俺たちとお茶しない?」
そのうちの一人が美鶴の肩に手をかけてきた。「ねぇ、ねぇ彼女ってばサァ・・・」
次の瞬間ワンピースが華麗に舞い上がり、相手の顔面に見事な美鶴の回し蹴りが決まった。
「やかましい!誰が彼女だ!」
可憐な美少女だと思っていた相手からドスの聞いた声があがり3人組は怯えながら思い切り逃げ出していった。
人生と言うものは一寸先は闇かもしれない。まだ11年しか生きてないのに今日自分はそれを痛感する。
その後宮原は美鶴の命を受け、あのキスは本当のキスではなかった事を3時間かけて亘に説明する事になりこんな事ならいっそお見合いを受けてたほうがましだったと半泣きしながら激しく後悔したそうな。
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