衝撃の事実・・・ゆうたろう君の「ろう」は「郎」だった・・・私今まで「朗」にしてましたよ。だってー!ブレイブのワールドガイドブックにはそうなってたのー!だからいちいち変換してたのに!・・・あああもう宮原マニアを語れない・・リクエスト小説第三段!(ごまかすな)リクエストは「亘と美鶴をからかって遊ぶ宮原くん」でした。・・・が、ああもう、私はリク小説をまともに書くことが出来ないのだろうか・・・これはリクを消化したといえるのか?宮原くんがもう別人だ・・・
警戒警報大注意!!思い切り宮わた入ってます・・・お詫びの言葉が浮かばない・・ 美夜さま!リクエスト有難うございました。謹んで御捧げいたします。(涙)
宮原祐太郎くんの逆襲
たいていの人間てのはトラブルは避けて通りたいものだと思う。
俺、宮原祐太郎もどちらかといえばそのタイプ。
両親の離婚と、再婚というこの年にしては割とヘビィな経験もしているせいか
その思いは人より強いかもしれない。
でもな・・でもな・・
・・・トラブルが向こうからやってきて、そして絶対離してくれない場合
どうしろっていうんだろう・・・
ハァァー。俺は大きなため息をついた。
「どうしたんだよ?宮原、疲れてんのか?」
秋の全校マラソン大会のあと。片付けをしながら小村が俺に聞いた。
「いや、まぁ・・ちょっとな・・・」
例の芦川の「自分と亘以外絶対優勝させない!」トラップ作戦につきあわされ、その後始末に駆け回り今は小村に見つかって学校に備品を持ち帰る手伝いをさせられていた。
これで疲れるな、というほうが無理であります。
「芦川と三谷が優勝したって?」
「オウ!同着優勝だったゼ!」
それを聞いて俺はやりきれなさが少し半減する。これで優勝を逃された日には俺の苦労はなんだったのかということになるし、明日芦川がどんな邪悪オーラをまとって学校にやってくるかわからない。そうなったらもう手におえない。
ハァァー。本日2度目の大きなため息をつく。やりきれなさが半減してくると今度はだんだん腹が立ってきた。
くそぅ。いいかげんにしろよ
「芦川をなぁ・・・ギャフン(宮原くん、それは死語です)といわせる方法ってないもんかなぁ」
思わずポツリと呟いた。
「あ?そんなの簡単じゃン!」小村があっさりといった。この男は意外な局面で実は強さを発揮する。
「え?あの芦川だぞ。どうやって・・・」
「だから!亘を餌にすんだよ。決まってんだろ。そうすれば芦川なんていくらでも釣れるぜ」
だてに今回そのネタでマラソン大会を仕切ってはいない。まるで海で大魚を吊り上げるかのように小村は確信的に言った。
・・・そうか!そうだよな、いつもそれに巻き込まれてばっかいたから逆に思いつかなかった・・・
・・・盲点だ!
もうひとつ芦川の弱みといえば言わずもがなの妹のアヤちゃんだが、可憐な小学1年生女子を困らせる事は俺には絶対出来ない。(←・・宮原くん・・)
でも三谷だったら・・・ちょっとくらい・・・
そもそも三谷という存在があの芦川を困った行動に走らせ、そのとばっちりをいつも俺は受けるはめになっているんだ。
俺は密かにこぶしを握り締めた。そして思わず前方をキッと睨んでしまった。
いいよな?よーし!決めた!見てろよ。芦川。たまにはおまえが焦ってみろ!
「三谷。今日なんか用事ある?」
放課後。下校途中の道路で俺は三谷を呼び止めながら聞いた。芦川と帰ろうとしてた三谷は振り返りながら答える。
「え?ううん、何もないよ」「じゃあ、ちょっと三谷んちいっていい?」
芦川の眉がぴくりと上がる。それを横目で見ながら俺は続ける。
「二人だけで(思い切りここ強調)話があるんだ」
三谷が目をパチクリさせながら聞く。「宮原が・・ぼくに?・・めずらしいね」
「どうしても二人だけで(更に更に強調)話したいんだ」
三谷はよほど重要な用件があるのだと思ったらしい。力づよくうなずくと言った。
「うん。わかったいいよ。じゃあ、このまままっすぐうちに来て!ごめん。美鶴。そういう訳だから僕、宮原と帰るね」
すでに邪悪オーラを発散し始めてる芦川に、それにまるで気づいていない三谷は笑いながら言った。
あまつさえ、俺の手をつかみ「行こう。宮原」と来たもんだから芦川のプツンと切れる音がする。
「・・・おい、宮原・・」邪悪オーラが明らかに俺に向き始めたとき、絶妙のタイミングで声がかかった。
「オーイ!!芦川ぁ!なんか三橋神社のそばの公園でアヤちゃんが泣いてたって、1年の子が言ってるぞー!」
それを聞いた芦川はまさに風を切るごとく、三橋神社の方向へ駆け出した。チラッとこっちを口惜しそうに見たところを見れば迷うところはあったのだろうが、とりあえずアヤちゃんをほっとくわけにはいかなかったのだろう。そりゃそうだよ。
心配そうに芦川の去る姿を見ている三谷の手を引き急ぎながら、俺は隠れていた小村にガッツポーズを送った。
「話って何?宮原」
お盆にアイスミルクティーを入れたコップを乗せて三谷は部屋に戻ってきた。
足でドアをうまい事閉めながら俺に聞く。そしてテーブルにコップを置いた。
「三谷、お母さんは?」「まだ仕事から帰ってこないよ」
よし!つまりはしばらく邪魔は入らないという事だ。宮原計画今のとこ順調に進行中。
「宮原が二人きりで話したいって・・・よっぽど深刻な事なんだろ。何があったの?・・・お父さんとお母さんがまた、・・・どうかした?」アイスティーを飲みながら心配そうに聞いてくる。
実は自分と環境の似ている俺を三谷はよく気にしてくれていた。チビちゃんたち元気?とよく尋ねるし、お父さんとお母さんは仲良くやってる?なんて聞いてきたりもする。それは俺が以前三谷にかけた言葉が嬉しかったからだよ、ということらしい。
それを考えるとこれからしようとしている事に俺はちょっと胸が痛んだ。
「何もないよ。今日話したいことはそういうことじゃないんだ」「そうなんだ?じゃぁ、なに?なんかあったの?」
相変わらず心配そうな声で聞いてくる三谷の方に俺は座ったままズズィッと思い切り近づいた。三谷がビックリした顔をして後ずさる。
ものすごい勢いで後ずさったので三谷の背中はトン、と壁についてしまった。
ほとんど息のかかる寸前まで顔を近づけた為、何が起きたのか目を白黒させてる三谷の大きな瞳に自分が映ってるのがわかった。
「み、宮原?」アイスティーを持ったまま三谷は明らかにうろたえていた。
「あのね、三谷・・」「な、なに?」
「俺の事どう思ってる?」「は?」
フェイント過ぎる質問だったのだろう。三谷は更に目をパチクリさせた。
「え?何?それってどういう意味?」「言葉通り」
「言葉通りって・・・え、と・・すごいなぁって思ってるよ。勉強もスポーツも出来るし、皆の信頼も厚いし・・」
「好き?」「え?もちろん好きだよ」OK!ここまでは思惑通り。
「じゃあね」俺は両手を三谷の肩のすぐ上の壁についた。そして立ち膝をして三谷をちょっと上から見下ろす形になる。
「芦川の事はどう思ってる?」
「美鶴?」
またまたフェイント過ぎる質問だったのだろう。俺を見上げながら三谷は何度も瞬きをしながら小首をかしげている。
どうでもいいけど三谷は本当に表情がコロコロ変わるなぁ。見てたら楽しくなってきてついつい余計なイタズラ心まで湧きそうになる。
「美鶴は・・・友達だよ。大事な。」「それだけ?」
「それだけって・・・」「好きじゃないの?」「もちろん好きだよ・・・」
俺が何を言いたいのかつかめないんだろう。段々顔つきが不安そうになってきた。
「三谷、まえ女の子のカッコして芦川の彼女のふりしたよね」「あ、あれは・・・」弾けたように三谷が顔を上げた。
「あの時の三谷スッゴイ可愛かった」瞬間で三谷の顔が真っ赤になる。お、面白い・・・
俺はゆっくり顔を近づけると三谷の耳元で囁いた。「俺とどっちが好き・・?」「え?・・・」
ピクリと三谷の肩が震えて緊張が走ったのがわかる。「やっぱり芦川の方が好き?」俺は更に顔を近づけていった。
「み、宮原何いってんの?そんなの比べられるわけないじゃん!」手にアイスティーを持ってるため逃げようがない三谷に俺は更に追い打ちをかけた。
「一度でいいから・・俺のほうが・・好きって言ってくれないか?・・・」
三谷はまさにポカンとした顔をした。宮原計画。実はここからが正念場。なんとしてでも三谷に自分の方を好きだといわせなければならない。
そのために俺はこんな通常じゃない状況を作ったといっていい。三谷の思考回路をまともに働かせないようにしてるのだ。そうでなければ望む答えを導き出せる可能性は低かった。
「宮原・・・?」なにがなんだかわからないんだろう。三谷は潤んだ目をして泣きそうに顔を上気させてきた。
それを見てると俺の思考回路も麻痺してくる気がしたけど、気のせいだ。きっと。たぶん。
「三谷・・・ダメ?・・言ってくれない?・・」悲しそうに言ってみる。今日の俺は我ながら演技派だと思った。
「ん・・・」三谷が顔を伏せる。そしてそっと言葉をつむぎだす。
「宮原が・・・宮原のこと・・」ゆっくりと口を開く。俺は促した。「・・・うん?」
「大・・好き・・だ・・よ・・」ポツリと・・本当にポツリと・・三谷は言った。
「三谷・・・」なぜだろう。胸がトクンと跳ねた。いや、これもきっと気のせいだ。俺はもう一度耳元で囁いた。「芦川より・・?」
「それは・・・あっ!」バシャン!
緊張してたんだろうな。三谷が持っていたアイスティーのコップを取り落として思い切り中身を自分の服の上にこぼした。
「大丈夫か?」「だ、大丈夫」それまでの雰囲気はどこへやら。一転してシャツびしょびしょ悲惨状況の三谷に俺は言った。
「ベタベタになるよ。着替えた方がいい」
「う、うん」
着替えようと立ち上がった三谷の前からよけると俺はフッと息をついた。なんだかんだいっても俺も緊張してたのかな。
いや、どっちかって言うと楽しかった気がするけど。
まぁ、ここまで行けただけでも上等か。とりあえず後は何とかなるかも。俺はズボンのポケットに手を入れる。
・・・カチッ!うっしまった!
シャツのボタンに手をかけて着替えかけてた三谷がこっちをみる。
「・・・今の何の音?」やっぱり聞こえたか!
「え?なんか音した?」俺はとぼけて見せた。「したよ。なんかカチッて」
「気のせいじゃないか?」思わず手を後ろにやってしまった俺に三谷がいぶかしげな顔をした。
「いま・・何隠したの?」「何も隠してないよ」「うそだっ!宮原・・後ろに隠したの見せて!」
服を脱ぎかけたまま三谷は俺に飛びついてきた。「み、三谷!やめろって」
バターン!
「亘っ!!」
ドアをぶち破る勢いで芦川が部屋に入ってきた。これを絶妙のタイミングというべきなのか思いっきり間が悪いというべきなのか。
俺たち二人を見て珍しく芦川は顔からザザァーッと思いっきり血の気を引いていた。
そりゃそうだろうなぁ。
なんせそのとき三谷はシャツがはだけて上半身半裸状態。飛び掛られてビックリした俺は思わず三谷を組み敷いてるというどう見ても、さぁ誤解してくださいといわんばかりの構図でした。
「宮原・・・」
邪悪オーラを通り越して殺意オーラを発散させる芦川。そのあまりの迫力にさすがにビビる。しかしな、芦川。今日はこっちにも切り札があるぞ!
「おかしいと思ったんだ・・・公園に行ったらアヤはケロッとした顔しているし。・・・おまえ・・宮原、よくも・・亘を・・」」
「み、美鶴。落ち着いて!ち、違うよ!なんか誤解してるよ」起き上がりながら三谷は顔を真っ赤にした。前をはだけたまま。
怪我の巧妙。棚からぼた餅。俺はすかさず、もう一つのズボンのポケットから今はもうほとんど使われなくなった小型ポラロイドカメラを取り出した!
パシャッ!「わっ?」いきなりフラッシュを浴びせられた三谷が目を瞑る。カシャッ!ジジー!現像された写真が出てきた。
「芦川!とりあえず言っとく。さっきの事は本当に誤解だ。でもこっちは本物だっ!」そしてさっき三谷から隠した物を取り出す。
これまた小型の録音器。この二つは二つとも小村が貸してくれました。ありがとう!小村。
カチッ!再生!
(宮原が・・宮原のこと・・大好きだよ)
芦川が急速冷凍して氷の塊になるのがはっきりわかった。あっけにとられていた三谷がハッとすると叫ぶ。
「わー!わー!み、宮原!何時の間にそんなのとってたのっ?!ち、違うよ、美鶴そうじゃなくて」
「三谷くんは、はっきりそう言いました。これは動かぬ証拠です」
「う、うん。言った・・いったけど・・だから!そうじゃなくて!」
三谷はもう泣きそうになっていた。芦川は固まって動けなくなっている。俺はちょっと感動してしまった。こんな芦川見れる日が来るなんて夢にも思わなかったなぁ・・・
「そしてこっち!」さっき写した出来たばかりの写真を手に俺は言った。
「限定これ一枚限りの三谷お色気写真!(・・・)芦川!これからこの写真は俺が持ってる事を忘れずに!」
固まっていた芦川がぴくりと反応する。芦川・・・反応がはや過ぎないか?・・・
「・・・つまりどういうことだ?」ユラリと動いて芦川は復活すると俺を睨む。ダメージは大きかったらしくさっきほどの迫力はない。
「つまり・・これからはあまり俺に無理難題を吹っかけるなってことだよ!」写真をシャツの胸ポケットにしまうと俺は立ち上がった。
「三谷、ごめん。大丈夫か?」もう何が何やらでボーゼンとしている三谷に声をかけた。「言いにくいけど前はだけたまんまだよ」
バババッ!三谷はまた真っ赤になると慌ててシャツを引っ張り前を隠す。そして俺をキッと睨んだ。
「み、宮原・・ひどいや・・・からかったんだね?」「そういうつもりじゃなかったんだけど・・・結果的にそうなるのかな。ごめん・・・」
「ひどいや・・・」涙を滲ませ始めた三谷を見て押さえ込んでた良心があふれ出てきた。う。胸が痛い。
「タッチ!」俺は芦川の手を叩きこの後の役割を譲った。泣いてる三谷を見てるのはつらいし、計画通り当初の目的は果たした。
「三谷本とにごめん。でも元はといえば全部そこにいる芦川のせいなんだから、わかってくれよ」
「美鶴が?・・・どうしてさ・・・」俺は苦笑する。わかってないんだな。そうだな。ある意味芦川のせいじゃないか。
自分がどれだけ芦川に大事に思われてるかこれっぽっちもわかってない。
・・・・そうだな、三谷やっぱりおまえが一番悪いよ。
俺は微笑んだ。そして去り際にひと言。
「でも、三谷の女の子姿。可愛いって言ったのはあれほんと。すっごくすっごく可愛かった」
三谷がまたまた瞬間で真っ赤になる。ああ、もうほんと!楽しいな。これはくせになるかも知んない。
「かえれっ!」
真っ赤になった三谷をその手にかばうと芦川が叫んだ。
芦川が完全復活する前に俺はそそくさとその場を後にした。
たいていの人間はトラブルは避けて通りたい。
俺も間違いなくそのタイプ。
でも中には向こうからやってきて、絶対離してくれないトラブルもある。
そうなったら仕方ない。自慢じゃないけど頭は切れるんだ。
この宮原祐太郎。どうにかそのトラブルに対処して見せるさ・・・
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