My Sweet Chocolate Boy!
試しに作ってみたんです。
湯煎にかけて温度を測って型に詰めて。
出来上がったら綺麗に包装してリボンをかけて。
もともとはお母さんが会社で配る義理チョコを買ってきてって言うからお店に買いに行って。
そしたら手作りチョココーナーって言う場所があって。
ご丁寧に作り方の載ってるレシピ本なんかも一緒に置いてあって。
だから本当に興味本位で材料とそのレシピ本を買ってきちゃって。
それでなんとなく作ってみちゃったんです。けっこう上手に出来ちゃったんです。
そしてふと。
どうしようこれ。なんか自分で食べるのもヘンな感じ。
んーと・・・
じゃあ、せっかくだし誰かにあげようか。そう思ったんです。
誰にあげればいいのかな?女の子は好きな男の子にあげるんだよね。
僕は男の子だから・・・そうだ!アヤちゃんにでもあげようか。
でも、アヤちゃんは僕にチョコくれるって言ってたのにその僕がまたチョコあげるのもなんかなぁ・・・
そういえば別に好きとかじゃなくても日ごろの感謝を込めてお世話になってる人にあげてもいいのだ、とお母さんが言っていた。
お世話になってる人・・・お世話になってる人かぁ・・・
ふと3人の顔が頭に浮かぶ。
ああ、そっかぁ・・・この中の3人のうちの誰かにあげようか。
んーと・・・でも誰にしようかな。
明日直接3人に聞いて一番欲しいって言った人にでもあげることにしようか。
うん!そうしよう!
「そんな訳でさ。美味しいかどうかわかんないけど欲しい?」
美鶴、宮原、カッちゃんの前に小さな包みを差し出しながら亘はニッコリ微笑んだ。
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
この悪気邪気全く無し万年天然エンジェルスマイルの亘くんを一体どうすればいいのであろうかと3人は同時にため息をつく。
亘は小首をかしげながらあれ?と戸惑った顔をする。これから勃発するであろう一騒動をまるでわかっていない。
「いらなかった?」
いや、いるんですよ。少なくとも美鶴とカッちゃんはすでに睨みあって火花を散らしている。
─芦川、おまえチョコなら腐るほどもらってンだろ?ここは公式親友の立場であるおれに譲れよな。
─ふざけるな。公式親友の立場を利用して普段から亘ににベタベタするおまえに誰が亘のチョコを渡すか!!
宮原はそういった戦い方では分がないことを知っているのでご自慢の素早く回る頭脳をフル回転させてこの事態の打開策を練っていた。
一番正しいのは亘が本当に渡したい相手に素直に渡すことなのだが「この中で誰が一番好きなんだっ?!」などとストレートな質問をしたところで「え?みんな好きだよ」という返事が返ってくることは間違いない。
出だしからすでにずれているのだ。
バチバチと火花を散らす美鶴とカッちゃんの横でさすがにこの状況がちょっと尋常じゃないようだと亘が慌て初めた頃カシャカシャカシャピーン!と宮原コンピュータ計算終了。
「じゃんけんだ」
キッパリハッキリの提案に火花を散らしていた美鶴とカッちゃんも振り返る。
「3回勝負。文句はいいっこなし。勝った奴が三谷のチョコを貰える・・・そして」
宮原は亘を振り返りビシッと指差して告げた。「三谷は必ずその相手の言うことをひとつ聞くこと。OK?」
ポカカン。亘は大きく目を見開いた。
天然三谷くんにはこれくらいのお仕置きが必要だ。3人はそこだけ同意して深く頷いた。
「レディ!最初はグー!じゃんけん、ポン!!」鬼気迫る勢いで繰り広げられたじゃんけん3回勝負。
「勝った!!」
さぁ。お相手は?
ミツワタでしょう!!
たまには
宮ワタ!!
公式だよ
克ワタ!!
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